がんによって併発する危険な病!注目される最新の治療法とは

免疫療法で用いられる免疫の力~QOL向上で免疫力も高まる~

免疫療法で知っておきたい身体と免疫の話

免疫療法は体の免疫を利用する治療法ですが、多くの人は免疫と聞いてもピンとこないでしょう。誰もが持つ免疫とは、一体どのようなものでしょうか。

そもそも免疫とは

ミクロ

免疫とは、体に病原菌やウィルス、毒素などの有害な物質が入り込んだ時に、抗体と呼ばれる物質を作り出して有害な物質を撃退する能力です。人が風邪を引いた時などに、発熱や咳、くしゃみなどの症状が発生しますが、これは免疫細胞が有害な菌やウィルスを退治するために起こしている反応です。発熱によって体温が高くなれば多くの菌やウィルスは死滅します。また、咳やくしゃみは、体内の菌を外へ出すことで菌の絶対数を減らすことを目的としているのです。免疫細胞は一度掛かった病原菌を覚えており、再度同じ病原菌が入った場合、すぐに抗体によってやっつけることができます。はしかなどの病が大人になって掛からない理由も、この免疫細胞がいち早く反応しているからなのです。

免疫細胞とがん細胞の関係性とは?

免疫細胞は、体に現れる異常な細胞を発見し破壊することも行なっています。体の中の細胞は、DNAの複製によるミスや活性酸素、紫外線といったDNAを破壊する要因によって、がん細胞などの異常な性質の細胞が現れてしまいます。免疫細胞は、発生した異常な細胞が増殖してしまう前に攻撃し、がんの腫瘍化を未然に防ぐことができます。

免疫細胞の種類【単球編】

マクロファージ
マクロファージは別名貪食細胞とも呼ばれており、体内の異物を発見次第、自らの細胞の中に取り込んで食べる性質があります。マクロファージの種類によっては、食べた異物の情報を読み取り、他の免疫細胞へ情報を伝えることも行ないます。自ら捕食によって異物を処理するだけでなく、別の免疫細胞と協力して異物へ攻撃を行なう細胞なのです。
樹状細胞
樹状細胞は、マクロファージ同様に体内の異物を取り込み、他の細胞へ伝達をする性質があります。マクロファージとの違いは、病原菌だけではなく、異常細胞へ特異的に攻撃をさせることができるという点にあります。樹状細胞ががん細胞を捕食すると、がん細胞が持つ特殊なタンパク質の情報を免疫細胞へ伝え、集中的に攻撃させることができるのです。がん細胞へ積極的に攻撃ができるキラーT細胞へ強く働き掛けることができる点も、マクロファージよりもがんへの効果が高いとされる理由です。

免疫細胞の種類【リンパ球編】

T細胞
T細胞は、ウィルスに感染した細胞や、がん細胞などの異常な細胞を排除する役割がある細胞です。T細胞に属する細胞は3つあり、それぞれキラーT細胞、ヘルパーT細胞、制御性T細胞が挙げられます。キラーT細胞は、樹状細胞から得られた情報を元に、異常な細胞へ直接攻撃を行ないます。ヘルパーT細胞は、キラーT細胞やNK細胞へ攻撃の指令を出すことや、B細胞へ抗体作るように指示を出すのです。一方、制御性T細胞は、キラーT細胞などの働きを抑制することができます。キラーT細胞は放っておくと健康な細胞まで攻撃することがあるため、ある程度異物を取り除くことができた時、この制御性T細胞が攻撃を止めさせるのです。
B細胞
B細胞は、ヘルパーT細胞からの指示を受けると、異物を攻撃するための抗体を作り出すことができます。B細胞の表面には抗原に結合するレセプターが存在し、レセプターが合致すると、抗原に高い効果がある抗体を放出します。過去に感染した病気に二度も罹らない理由は、このB細胞が病原体に対してスピーディーに対処できるからです。
NK細胞
NK細胞は、ナチュラルキラー細胞と呼ばれており、他の免疫細胞とは違い単体で異物へ攻撃を行なうことができます。白血球の15パーセントから20パーセントを占め、非常に高い殺傷能力を有しているものの、ストレスで不活性化することや年齢によって数が減少するなど、条件によってはその高い能力を発揮できない場合があります。自己認識ができないがん細胞に対しても積極的に攻撃して、破壊します。

上記のような免疫細胞の働きが高まれば、危険ながんの増殖や転移を防ぐことができます。また、心筋梗塞や脳梗塞といった併発する病も防ぐことができるでしょう。

免疫療法の種類

開発されて間もない免疫療法ですが、その種類は数多くあります。各免疫療法の特徴はどのようなものでしょうか。

免疫療法の種類をその違い

免疫細胞療法
免疫細胞療法とは、前述したNK細胞やT細胞、樹状細胞といった免疫細胞を活性化、または培養して数を増やす方法です。免疫細胞を活性化させることや、数を増やすことにより、免疫力自体を大きく高められます。がん患者さんは、抗がん剤や放射線治療によって免疫力が著しく低下しています。この時、免疫細胞療法を利用すれば、下がった免疫力を補強することもできるでしょう。
ワクチン療法
ワクチン療法は、「がんペプチド」と呼ばれるがんの目印になる物質を体内に投与する治療法です。このがんペプチドとは、がん細胞の表面に作られるがん細胞固有のタンパク質です。異常な細胞を破壊する特異的キラーT細胞は、このタンパク質を見つけることでがん細胞を破壊します。ワクチン療法では、この特異的キラーT細胞へがんの存在を知らせるために投与する治療法です。ウィルスに対するワクチンのように、体内のがん細胞を集中的に攻撃できると期待されています。
サイトカイン療法
サイトカイン療法とは、体内の免疫細胞を活性化させる「サイトカイン」と呼ばれる物質を投与し、免疫力を高める治療法です。主に投与されている物質はインターロイキン2、インターロイキン12,インターフェロンの3つです。効果が現れにくいことや、副作用のコントロールが難しいため、あまり普及していない治療法となっています。
BRM療法
BRM療法は、別名で生体応答調節剤療法と呼ばれる治療法です。直接免疫細胞に働き掛けることはせず、がん患者さんの体調バランスを整え、体の免疫力を高める治療法となっています。BCGやPSK、レンチナンなどの物質を摂取し、免疫力の向上を図ります。
抗体療法
抗体療法とは、各臓器にできたがん細胞の抗体を投与し、B細胞の働きを高める治療法です。がん細胞は、臓器ごとに違った抗原と呼ばれる物質を保有しています。B細胞はこの抗原に合致する抗体と呼ばれる物質を作り、がん細胞などの異物にくっつけることで、がん細胞の増殖抑制と他の免疫細胞の活性化を促します。抗体療法では、B細胞の代わりに人工的に合成した抗体を投与することで、がんの増殖を抑制することができる治療法となっています。

免疫療法には上記のように数多くの種類が存在します。がんの進行度や患者さんのQOL向上など、目的に合わせた治療法を選ぶ必要があります。どの治療法を選択するべきか、医師と相談して決めましょう。

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